隣に住むのは『ピー…』な上司

フェンスに駆け寄ると、課長はタバコを燻らしながらこっちを向きました。


「おはよう」

「おはようございます。あの、どうしてピーチちゃんがここに?」


もなちゃんが迎えに来て返したんじゃなかったの。
それとも何かの理由があって?


「ピーチが環境に慣れなくて毛引きが始まったんだ。見るに見かねた母親からピーチを返してもいいかと相談を受けた。
また勝手なことを言う…と思ったけど、取り敢えず、俺が面倒見てやることに決めた」


「毛引き?」


どういうことだろうかと思い、聞き返した。
課長は毛引きについて、こう説明しました。


「クチバシで毛を抜くんだ。セキセイはあまりしないことだけど、どうやら「もな」が必要以上に構ったみたいで」


4年も離れて暮らしていた小鳥を毎日のように可愛がり過ぎたらしい。


「俺が出張の時はそれでも良かった。でも、それが毎日となると、さすがにウンザリしたのかもな」

「じゃ…また課長が飼うんですか?」


ワクワクしている自分に気づいた。
でも、答えは芳しいものじゃなかった。



「月曜から金曜までは俺。土日の間は「もな」に返す」


「どうして!?課長がずっと面倒見てあげればいいじゃないですか!」


あの人と娘さんに関わらないでいて。
これ以上、結びつきを強めないでーー。


「そうはいかないよ。ピーチの飼い主はあくまで「もな」で、俺は一時預かりなんだから」