隣に住むのは『ピー…』な上司

「酷い話だよな」


課長は寂しそうに笑った。
その顔が辛そうに見えて、ぎゅっと手の平を握りしめました。


「もなの母親から電話があって、『娘が生まれた』と聞かされたのは7年ほど前だ。
自分と同じ血を分けた子供が生まれたのに、俺には感動とかまるで無くて。
……『そうか』と一言だけ呟いた気がする。……その後も、顔なんて見にも行かなかった」


感情を出さずに話そうとしているのがわかった。
課長は言葉の端々で、区切りをつけながら話していたから。


「ピーチの世話をして欲しいと頼まれたのは4年ほど前だ。
娘の面倒を見ろと言う訳じゃないからいいでしょう…と、勝手に押し切られた格好だった」


課長の顔が少しだけ緩んだ。
小鳥と暮らし始めてから、自分が少しだけ変化していったらしい。


「君も言ってたけど、自分を待つ存在がいるというのは助かるな。
嫌なことがあってもピーチが出迎えてくれたら和んだ。
挨拶もしない俺に懐いて、可愛い声を聞かせてくれた時は嬉しかった」


課長の表情が可愛く見えました。
小鳥のことを話す時の課長は本当に優しい顔をしている。

見ているこっちが癒されていくような気がする。
その瞬間、課長の口から懺悔のような言葉が飛び出した。


「ピーチと住み始めて思った。もしかしたら子供というのは、これと同じような存在なんじゃないかって。
小鳥一羽でこんなに癒されるのなら、血を分けた自分の子供はもっと可愛く感じるんじゃないかって。