隣に住むのは『ピー…』な上司

何!?
今なんて言った!?


ドキンと鳴る胸の音が大きくなって、何と答えるべきか悩んでしまった。


板って何のことだろう。
私と課長の部屋の間には、壁しかないはずなのに。



「板って……まさか……」


いくら何でも…と思いつつカーテンを開けてみたら……




「課長……」


いつからそこにいた?
……と言うか、ベランダですよ。そこは。



「開けてくれ」


トントン…と窓を叩きながら声は電話から響いてきました。

この窓のカギを開ければ、きっと課長との恋が始まりそうだけれど。



「……ダメです」


この部屋には入ってこないで欲しい。

受け入れる準備は出来ているけれど、話を聞いてからでないとムリ。



「そのまま話して下さい。お話次第でカギを開けます」


カンタンに男を信用するのはやめている。
過去の経験が、必要以上に私を臆病にさせた。


誰が相手だって同じ。
例えばそれが課長であってもーーー。



「……そうだったな」


課長の声が沈みました。
残念そうな表情を見せて、しゅん…と肩を落とした。


「課長……」


そんな子犬みたいな態度見せてもダメですから。
課長だろうが何だろうが、男の人は信じきれないところがある。


「だったらここで話す。多少蚊に食われようが藍に信用されるまで待つ」


「藍」とカンタンに呼ばないで欲しい。
そんな課長の言葉一つが全部毒だというのを知らない。