隣に住むのは『ピー…』な上司

勘違いという言葉でごまかそうとしている。
そんなのに騙される私ではありません。


「だって、もなちゃんは子供でしょう?子供には親が必要ですよね?」


間違いではないはず。
あの子は絶対に課長の子供だ。


「……あのな、勝手に決めつけるのはよせ。子供にとって親が必要なんて、誰がそんなことを決めたんだ」


呆れながらこっちの方へ体を向けた。
真っ直ぐ向けられた目にきちんと向き直って言った。


「私が、です」


「どうして君が決める?もなのことは君が知らなくていいことなのに、いくら隣に住んでるからって、そこまで口を出される筋合いはない」


あくまで自分の子供だと認めない。

その煮え切らない態度が、ますます不満を広げました。


「筋合いはなくても帰るべきです!課長はもなちゃんのパパなんでしょう!?」


親なら一緒に暮らしてあげて。
単身赴任なんかさっさとやめて、三人で幸せな家庭を築いてしまって。

私みたいな人間を女にしようと思わないで。
いい父親になる方が大切です。


「昨夜も言いましたけど、課長の女にはなりません。私は家族のいる人と不倫なんてしたくありません。
そんな相手が欲しいのなら私以外の方にして。家庭を壊す道具にされるのなんてイヤです!
そんな片棒、担ぎたくもありません!」



……言ってしまった。

言わなくていいことだけれど、やっぱり口をついて出てしまった。