隣に住むのは『ピー…』な上司

部屋の中でぼぅっとしていました。
課長と別れ、自分の部屋へ帰ったのはどのくらい前だっただろうか。


「パパ」と呼ばれた課長は、一瞬だけ驚いて目を伏せた。
くるりと背中を向けて、彼女の名前を呼びました。


「もな!」


嬉しそうに駆けてくる女の子は長い髪の毛を二つに結んでて、髪にはピンク色のリボンを付けていた。
白いTシャツの袖はフリルで、スカートは切り返しのある小花柄。

シャツの前面に描かれてある絵は、まるで課長の飼っている小鳥のようにも見えた。


「どうしたんだ。こんな時間に」


自然な感じで抱き上げる課長に背中を向けた。

知らなかった課長の姿を見るのが怖くて、走ってその場を離れました。



スゴく嫌な気分だった。

見たこともない課長がそこにいるみたいで。



(あの子は誰なんだろう……)


親戚の子?
兄弟の子供とか?

そんなふうに考えて、(違う…)と思い直す。


課長のことを『パパ』と呼んでいた。

それなら、どんなに考えたところで行き着く答えは一つです。




(課長の子供……)


結婚していたんだっけ。

独身かと思っていたけれど。



「単身赴任だったのかな……」


自問自答を繰り返して導き出した答え。

私は知らなかったけれど、きっとそういうことなんだと思う。


課長は既婚者で単身赴任。

「もな」ちゃんという名前の子供がいて、きっとその子の母親と夫婦関係にあるんだ。