隣に住むのは『ピー…』な上司

「昨夜ピーチのカゴの中を見たら巣の中に入れてあったんだ」


耳を疑う。
私のハンカチを巣の中に?


「あったかいんだろう。上で丸くなって寝てた」


笑みを浮かべる課長にホッとする。
機嫌を損ねたと思ってたけれど、そうじゃなかったみたい。


「そうですか…」


安心して胸を撫で下ろした。
小鳥について話すのはやめようと思ったけれどそう言われたら嬉しい。


「課長はいいですよね。ピーチちゃんという家族がいて」


一人きりの私とは違う。
「ただいま」や「おはよう」を言える相手がいる。


「私も何か飼おうかな」


考えもなしにそう言った。
その言葉にコメントする訳でもなく、課長は車を走らせた。




小一時間ほど後、車は展望タワーの駐車場に停められました。

課長の歩く方向について行くと、白い灯台みたいなタワーが見えてきた。


「高いですね…」


見上げて呟くと返事があった。


「28階建てとか言ってたな」

「28階!?」


どれくらいの高さなの。


「展望デッキが最上階にあって、その下がレストランになってるんだそうだ」

「く、詳しいですね」


何度か来たことがある…?


「昨夜、部下が嫌になるくらい語ってたからな」


私と話している最中に連れて行かれた子達から散々聞かされたらしい。


「あんな場所で食事できたら最高だろうなぁ…と言うもんだから君を誘ってみた」