「美味しそう!」


クリーム色の果肉が所々濃い黄色になっている。

頂き物だから贅沢に食べようと思い、半月状に切ってみた。



「あはは、まるでスイカだ」


両手で持ち上げ、真ん中の一番美味しいところにかぶり付く。


ズルッとした果肉の中心はジュレのように蕩けて甘い。

可食部は歯応えを感じさせながらも、程よい柔らかさに熟されていた。


「美味しい!甘い!」


パクパクとあっという間に食べきりました。
常温でこの甘さなら冷やせばもっと美味しいはず。


ホクホクとしながら残りを冷蔵庫に入れた。

それから流し台に振り返り、重い現実を知る。



「どうする……これ」


やはり実家に持って行く?それとも明日、真由香にあげる?



(真由香はマズい。誰に貰ったの?と絶対に聞きたがる)


嘘をつくのが苦手な私。

舌を噛んでしまうから絶対にバレます。


参ったな…と呟いても現実は変わらず、やっぱり実家に持って行こうと決め、ケイタイを手にした。






「……もしもし、叔母さん?」


母親代わりの叔母に電話。


「藍か、何だい?」


迷惑そうな感じに聞こえる声。


「美味しいメロンを頂いたの。今からそっちへ持って行くから」


言うだけ言ってすぐに切る。

課長じゃないけれど、私もかなりクールだ。



(仕方ないじゃん。本当の親じゃないんだし)


もう一つだけ貰っておこうと袋から取り出し、冷蔵庫にしまった。


少しだけ軽くなった袋を片手に、重い足取りのまま部屋を出た。