「お!水月!」

明るく声をかけて来たのは、赤ちゃんの頃からの付き合いである賢治先輩だった。

「賢治先輩!こんにちは!」

私は賢治先輩が好きだった。
中学の頃から片思いしていて、一回振られてもいる。
賢治先輩には彼女がいたから。
それでも賢治先輩が好きだった。

「高校生活楽しんでる?どう?彼氏でもできたか?」

先輩は私の気持ちなんて知らずに不躾な質問をしてきた。

「楽しいですよ!出来てたらこんなに仲良く先輩と話しませんから笑」

私は出来るだけ明るく返す。

「ふーん。水月ならすぐ出来そうなのにな!なんなら俺がいい人紹介するぜ〜笑」

「紹介してくれるんですか?一応聞いとこっかな。」

賢治先輩…本当にわかってないな…。

「一応ってなんだよ笑 俺の友達ですげえいい奴いるの!伊勢敬太ってやつ!知ってる?」

「あーー。美帆がその先輩のことかっこいいって言ってました。」

「知ってるなら話が早い!まじ!ほんとオススメ!水月付き合っちゃえって!Twitterやってるからとりあえずフォローな。」

賢治先輩に流されて私は言われた通りに敬太先輩をフォローした。

「先輩がそんなに推すんだったら絡んでみます笑 美帆もかっこいいって言ってたから期待しちゃうなー!どうします?本当に付き合っちゃったら?」

半ば私は投げやりになっていた。
正直、賢治先輩への想いを紛らわす為に敬太先輩に絡むことにした。