中間テストを一週間後に控えた五月中旬。

 昼食を終えたばかりの五時間目、二年三組の教室では英語の授業が行われていた。

 大学を卒業してまだ二年という若い女性教師が教えているせいか、他の教科よりいつもはざわつき気味の生徒達も、テストを前にして大人しく授業を受けている。

 そんな中、穂香(ほのか)は頬杖をつきながら、襲い来る睡魔と戦わずして、あっさり負けていた。

 コクン……コクン……と船を漕いでいる穂香の後ろは千咲希(ちさき)で。それに気付いた千咲希は、相変わらずな穂香の背中に呆れながらも小さな笑みを浮かべた。