雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

 クスクス笑いながら、または冷やかしながら通り過ぎていく生徒達。

 ――お兄ちゃん以外の男におんぶされるなんて。

 萌果は恥ずかしくて顔を上げられなかった。


「八尾ー、もういいって。もうちょっとだから歩けるよ」


「もうちょっとだから、おとなしくしとけ」


「…………………………」


 まさか萌果がこんな事になるとは。意外な展開に、伊万里も驚いていた。

 ――あの萌果が。

 そう思うと、申し訳ないけれどちょっぴりおかしくて。


「なぁ」


 不意に功に話し掛けられ、伊万里はビクッとする。それを見た功は小さく肩を揺らして笑った。


「そんなに怖い?」


 伊万里は首を横に振ってはいるが、顔が強張っている。


「どんだけビビリなんだよ」


 明るめの口調だったにも関わらず、それきり功が話す事はなかった。何か言いたい伊万里だったが、なんと言えばいいのかわからず、結局沈黙してしまい、そのままキャンプ場まで歩いた。