雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

 歩き出して三十分ほど経つと、徐々に街から外れて山の方へと向かっていく。山の中腹にあるキャンプ場が遠足の目的地だった。


 最初は意気揚々と歩いていた生徒達だが、早くも疲れが見え始めてきた。明らかに歩みが遅くなる班を、後ろの班が抜いていく。


「足が痛い人は無理しないで、ゆっくり行きなさい」


 一年一組の担任、村上三治(むらかみみつはる)、通称『サンジ』が生徒達に声をかけていた。年齢は三十過ぎの、あまり冴えない社会科教諭。


「伊万里、大丈夫?」


「うん」


「足、痛くない?」


「うん」


 萌果はしきりに気にするが、伊万里は、歩くのはそれほど苦手ではない。電車やバスより歩く方が好きなので、一時間かけて家まで歩く事もあった。