雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

「しかも、野原さんと一緒だったのに、穂香のために交番まで……」


「別に、あいつのためとかじゃないから」


「そう。でも、わざわざどうして?」


 千咲希の問いに、帆鷹もすぐには答えられなかった。帆鷹自身も、わからなかったからだ。


「借り、かな」


 返ってきた答えに、千咲希は首を傾げる。


「借り?」


「強いて言うなら。中崎には、花火大会の日にバイト入ってもらったし」
 

「でも、それは九条くんが頼んだわけじゃないでしょ?」


「まぁ、そうだけど。ってか、突っ込み厳しいね」


 帆鷹は笑ってはぐらかすが、千咲希は真顔で更に続けた。


「九条くん、もしかして穂香の……」

 
 その時、穂香が勢い良く交番から飛び出してきた。


「二人とも、ほんとにごめん! せっかくの自由時間潰しちゃって」


手を合わせて平謝りの穂香を見て、帆鷹も千咲希もふっと力が抜けたように笑みをこぼす。