雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

「野原」


「野原!? 野原って……あの野原絵里奈!?」


 興奮した新太の声は、ざわめきに紛れていたものの、帆鷹の耳にキーンと大音量で響く。


「声でかいって」


「そりゃでかくもなるだろ。エビ10二年連続一位の野原絵里奈だぞ! その野原絵里奈が何だって?」


 新太の目は、興味津々と言わんばかりだ。


「ちょっと夜に話せないかって」


「マジかー! これはまさかのあれか!?」


「あれって何だよ」


「告白だよ!こ・く・は・く」


「なわけねーだろ」


 帆鷹は冷めた視線で新太を一瞥すると、座席の背もたれに深くもたれた。


「じゃあ、わざわざ修学旅行中に帆鷹を呼び出す理由って、他に何があるわけ? 別にどうでもいい話なら、学校でいいじゃん」


 新太の指摘に、言われてみれば……と思う帆鷹だったが、そこは敢えて深読みするのをやめた。