雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

 帰り支度を整えた穂香は、帆鷹と一緒にファミレスを出た。花火大会が終わり、帰宅する人々が、通りを歩いている。


「花火大会、終わったんだね」


 独り言みたくこぼした穂香に、帆鷹が横顔のまま訊いた。


「ホントは行きたかった?」


「行きたかったけど、行く相手もいないし」


「長原は……あっ、彼氏か」


「そういうこと」


 そんな会話を帆鷹としていた穂香は、通りすがりのカップルに目を奪われる。

 ――関根っち!?

 でもそれは一瞬で。振り返ってもよくわからない。何より隣にいた女の子は、千咲希ではなかった。


「どうかした?」


 帆鷹に訊かれ、穂香は何でもないと首を振る。そもそも千咲希と一緒にいるはずの春翔が、ここにいるわけがない。

 ――きっと見間違いだよね?

 気のせいだとすんなり片付けて、全く気に留める事もない穂香だった。