雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

 律樹の隣で花火を見ている那子は、まだどこか夢見がちだった。律樹に誘われ、こうして浴衣を着て、二人で花火を見ているなんて……。

 暗闇の中、花火の光に映し出された律樹の横顔に、那子の心は更に高鳴る。と同時に、また疑問も生まれていた。

――どうして今宮は、アタシなんかを花火に誘ったんだろう……?

 律樹が単なる気まぐれで誘うようには思えない。かといって、それ以外の理由も見つけられない那子だった。

 訊きたいけど、訊けない。そんな落ち着かない気持ちばかりが膨らんで、那子は花火に集中出来ずにいた。