雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

 二十一時にバイトを終えた悠李が店を出ると、そこに立っていた見知った顔に驚いた。


「律樹の妹ちゃん? こんなとこで何してんの?」


「見ればわかるでしょ? 待ってたの」


 相変わらずなツンケンした物言いで、萌果は睨む様に悠李を見る。


「『待ってた』って……もしかして、俺?」


「あんたの他に誰がいるわけ!?」


「妹ちゃんさ、『あんた』って事なくない? 仮にも俺、先輩」


「じゃあ、江坂悠李」


「フルネーム呼び捨てかよ」


「だって萌果にとっては、先輩ってよりお兄ちゃんの友達だし」


「兄貴の友達=(イコール)先輩だろ」


「お兄ちゃんの友達は、萌果の友達」


「何だよ。そのジャイアン的発想。あっ、女だからジャイ子か」


 からかって笑った悠李を、萌果は更に鋭い目つきで見た。