雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

「先約って……?」


「クラスの奴」


「そっか……。そうなんだ……」


 残念そうに項垂れる萌果をよそに、律樹は戸惑いでいっぱいだった。

 ――まだ誘ってもないのに……何言ってんだ俺は……。

 そんな律樹の横顔に、萌果は胸騒ぎを覚える。

 ――お兄ちゃん、花火大会、誰と行くの……?

 いつもならすんなり訊けるのに、訊くのが怖くて声にならない。

 二人はそこから、いつになく言葉少なに、家までの道のりを歩いた。