雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

「だから、俺のを見たから笑ったんだろって!」


「俺の……?」


 そこでようやく話の内容を理解した夏成実は、クスッと笑った。


「大丈夫、見てないから! そんな気にするほど、ちっちゃいの?」


「なっ……てめぇ!」


 今にも殴りかかってきそうな勢いの功をスッと交わし、夏成実は言った。


「一年生くん、アタシ三年六組の守口夏成実。文句があるんならいつでもかかってきなさい? じゃあね」


「待てよ!」


 夏成実はツインテールを揺らして振り返り、ウフフと笑う。


「あ、そうだ。女の痴漢の事は、痴女って言うんだよ? チビザルくん」


「誰がチビザルだっ!」


 ヒラヒラと手を振って、夏成実は弾むように階段を駆け上がって行った。


「くそっ……」


 功は忌々しげに呟く。三年六組の、守口夏成実。その名前は脳内に完全にインプットされた。