雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

「お兄ちゃん、この電車に乗ってたの!? 萌果が駅に着いた時にはいなかったのに」


「一本前の電車に乗ってたんだけど、痴漢がいてさ」


「えっ? 痴漢!? まさかお兄ちゃんがされたの!?」


やけに真顔の萌果を見て、律樹は思わず笑ってしまった。


「俺なわけないだろ。変な奴いるから、萌果も気をつけろよ?」


「大丈夫。痴漢なんて秒殺でやっつけるから」


 萌果なら本当にやりかねないと、律樹は苦笑いする。

 ――それにひきかえ桜川は……。

 萌果と話しながら、あまりに弱々しい那子の姿を思い出す律樹がいた。