雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

「だって……『不可抗力』とか、わざわざ言わなくてもわかるから」


「あんな事があったすぐ後だから、男が近付くだけで怖いんじゃないかって思ったんだよ」


 相変わらず目を逸らしたまま律樹が早口で言い、そんな律樹の不器用な優しさに那子の胸はトクンと鳴った。それこそまさに不可抗力。

 ガタンッ――。

 電車がまた大きく揺れて、律樹と那子の体が密着する。

 那子はそっと上目使いで律樹の顔を盗み見た。ちょっぴりしかめっ面をしながら、その視線は車窓にある。近すぎる距離に今更ドキドキして、急に恥ずかしくなった那子は俯いた。