雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

「ありがとう……ございました」


 消え入りそうな声でお礼を言うと、彼はにこやかに笑った。


「どういたしまして! ね、君高校生? どこの学校?」


「えっ……と」


「俺、エビ高なんだけど」


 エビ高?――伊万里が驚いて目を見開くと、彼も「えっ」という表情の後、満面の笑みで言った。


「もしかして、君も?」


 伊万里がなんと返事すればいいのか、言葉を探していると。


「新太ぁ、帰るぞー」


「あ、悪い、ツレが呼んでるから。じゃね、またね!」


 彼は手を振って、何度も振り返りながら去って行った。

 同じエビ高で、『アラタ』と呼ばれていたが、何年生かもわからない。伊万里はしばらくその場から動けずにいた。