雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~

伊万里はipodから流れるFateの曲に耳を澄ませ、自分の世界に入っていた。

 大好きな音楽を聴いていると、雑音は全てシャットアウト出来る。嫌な事も忘れられる気がした。

 今日は生のFateに会えるのだと思うだけで、電車内の不躾な視線も気にならない。

 萌果にも、誰にも話していない、自分だけの秘密。

 十分時間に余裕はあるものの、気が逸り自然と足早になる。重たいブーツで歩く伊万里は、ライブの事で頭が一杯だった。


 「いらっしゃいませー」


 入り口でチケットを見せて、半券を受け取る。店内は早くも熱気で溢れていた。ワンドリンク制のカウンターで伊万里はオレンジジュースを頼み、喉の渇きを潤す。

 似たような格好の女子が多い中、伊万里は自分が注目を浴びている事に気付いていない。