息を切らしながら、教室のドアに手をかけたのと、担任がドアに手をかけたのが同時だぁ……

う……

い、今、担任と目があった??

幸いにも、私の席はドアのすぐそば。

「ギリギリセーフ」

バッグを机の上に勢いよくおきながら、息を切らしている私を隣で見ていたりこは「夫婦漫才なんかやってるからだよ」と突っ込んできた。

「め、夫婦漫才って……だいたいあれは先輩が悪いんだから」

「ね、前から気になってたんだけどさ」

「なに?」

担任のか細い声など後ろにいる私たちには届くはずもなく、話を続けていた。