もみくちゃになりながら、何とか昼ご飯を買ったけど、遠藤さんはしょんぼりとした顔をしていた。

「どうしたの?」

「せっかく卵ドーナッツ手にしたのに、誰かにぶつかって落としちゃったみたい」

そう言って持ってたのは、卵サンドだった。

遠藤さんは、大きくため息をついて、まだ群がっている販売場所を見つめた。

「仕方ないよ。こんなたくさんいるんじゃ」

僕は、どう慰めていいかわからず、当たり前のことしか言えなかった。