「どうだった!?志望校受かってた!?」

スマホの向こう側から聞こえた君の声。
走って来たのかな?少し息が荒い。

「……河橋くんは?」

スマホを握る手が震えた。声も震えた。

「受かったよ!セッシーは?」

嬉しそうに言う君。
そっか、受かったんだ。良かった。

「……」

どうしよう。言えない。

「…セッシー?どした?」

一緒に頑張って勉強したのに。
落ちたなんて言えない。
でも言わなきゃ。

「……っ、ごめんっ、ごめんね……落ちちゃったっ……」

我慢していた涙がこみ上げて来た。
涙が止まらない。


大きなトラックが私の前を通過した瞬間、信号が青に変わった。


横断歩道の向こう側。いつものあの笑顔のない、君が立っていた。

「……そっか」