病院の帰り、私は本屋に寄った。

私の夢は将来臨床心理士になること。

今日のカウンセリングを受けて、ますますその想いが強くなったんだ。

だから専門書を町で一番大きな本屋で立ち読み。
欲しいなぁ、と思って値段を見ると、1冊3000円もする。

たっかーい、ぼったくりじゃん!

買えないよ、こんな高い本。

本棚に本を戻して、諦めて家に帰ることにした。

家に着くと、いつもの習慣でなんとなく、

「ただいまぁー」

という私。

シーン、という音が聞こえてきそうなほど静かな家の中。

お母さん、今日も仕事だったっけ。

キッチンに行くと、食卓テーブルにラップのかかった料理の皿。

いつもこれを温めて食べている。

一人で食べる食事は味気ないし、寂しいけど、しょうがない。

私は2階に上がり、制服からTシャツとミニスカートに着替えた。

人気のないリビングで灯りもつけずにテレビをかける。

つまらない笑い声が流れてくるけど、私の耳には入ってこなかった。

思い出すのは先生が病院まで来てくれたこと。

頭をくしゃって撫でてくれたこと。

「ざまあみろ」って笑ってくれたこと。

先生、好きだよ。