夕方。

日の傾き始めた教室でマサミと話し込んでいた。
「ねぇ、舞。舞って好きな人とか、いないの?」
ぎくっ、どきーん!

いるよ、もちろん。

先生が大好き。

でも本音とは裏腹の言葉。

「いないよー、だって彼氏とかめんどくさそうなんだもん」

「今まで男と付き合った経験は?」

「うーん、あんまりないなぁ」

マサミは驚いたように目を丸くして、

「じゃあまだエッチもしたこと、ないの?!」

こくん。

頭が縦に振れる。

「えーっ、私なんか一週間に一度はしないといられないけど」

「やりすぎじゃない?」
「そんなことないよー。みんなもっとやってるよ」

「そうなのかなぁ」

「そうだよ、バリバリやってる。あんな大人しそうな芥川さんだってセフレとやりまくってる、って噂だよ」

芥川さんはメガネをかけていて、いまどき珍しい三つ編みをしたクラス委員。

はははは、それは多分マサミがだまされてるんだよ。

それは言わなかったけど、マサミには伝わっちゃうみたい。

「あー、今心の中で『ありえなーい』って笑ったでしょ」

慌てて首を横に振る。

めっそうもございません。