「ちょっと、ショー!あんた、あたしらに連絡の一本も寄越さずに、朝帰りってどういうことかしら?」


「お、落ち着いて、鞠畭さん!(つか、朝帰りはねぇだろ……)」



現在の時刻は午前3時ちょっと過ぎ。


恋粕には、邃巷と犬申、見熊や蕎寡·莢啝·蛉葭の3人までいて、鞠畭と共に仁王立ちになっている。



「事情聞かれたりしてさ、慌ただしくて………連絡忘れました、すんませんっ!!!」



言い訳もそこそこに、潔く炒市は頭を下げた。



「それで杠ちゃんは?怪我はしてないの?」


「うん、怪我はしてない。藺媒焚さんが家まで送ったから大丈夫。」


「そう、良かったわ。」



杠に何もなかったと分かり、鞠畭は胸を撫で下ろす。



「そんで結局、何がどうなった?」


「ああ、全部話す。」



皆を代表した犬申に促され、炒市は今回の事件の顛末を説明し始めた。



「林残に来てた憑舌っていうオヤジが、杠を誘拐したんだよ。お前ら3人が見た車の。」



蕎寡と莢啝と蛉葭が誘拐されたと恋粕に駆け込んで来たのは、杠が車に連れ込まれるところを見たから。


他に車が無いのか、鍼蔑が使用したのは社名入りの社用車。