「ユーハちゃん…。」


「靱さん?もう戻るから大丈夫よ。」



「あ、いや、そうじゃないんだ…」



戻りが遅い自分を呼びに来たと思ったのだが、どうやら違うらしい。



「これを渡したくて……」


「薔薇?」



靱が手渡したのは、1本の薔薇の花。



「去年は店長が盛大に色々考えてくれてプレゼントは皆からってことだっただろ。俺もそれに乗っかったから、今年は何にしたらいいか分からなかったんだ……」




‥‥君が喜んでくれるなら、いくらでも悩もう。‥‥




「花屋の店先通ったら、目に止まって……」



匂いは沢山だとキツいかもしれないし、見えないからたくさんあっても何本か分からなかったら悲しいかもしれない。



だから見た目の華やかさよりも、匂いがよく分かり、部屋でも匂いが籠らず楽しめる1本を選んだ。




‥‥その1本に込めた、ありがとうと大好きが、君に伝わりますように。‥‥




「憑舌さんみたいに本数無いし、見栄えも無いから申し訳ないんだけど…」




‥‥君が産まれた、年に一度だけの特別な日だから。‥‥




「誕生日おめでとう。」




‥‥ぷれぜんとふぉーゆー‥‥