「さっきの登場、 全てが私を試していただけじゃないってこと、 気付いているわよ」 私がそう言うと、十史郎は微かに目を開いた後、 満足気に笑って言った。 「流石です」 「あ、それと。 もう聞いているとは思うけれど、 私は自分の家に多くの他人がいることが苦手だから、 食事の担当から何から、全てあなた一人よ」 私は膝に掛けていたナプキンで唇を拭うと、 期待してるわ、と呟いてダイニングを後にした。 後ろからはyes,my pleasure.と流ちょうな言葉が背中を追ってくるのであった。