無言のまま、レトがゆらっと立ち上がる。



「どうし……きゃっ!?」



え…?



驚きと一緒に体に痛みが走る。



っ痛い…。



レトに思い切り引っ掻かれてしまった。



「レト…大丈夫?辛いの?」



「……。」



声は届いていないようで無表情のまま、またレトがわたしに手を振りかざそうとした。



「っ結愛ちゃん!!!」



その瞬間、目の前にレトのお父さんが来てくれてレトの腕を掴んで止めている。




「これはよくないね…マナ、結愛ちゃんを手当てして。」



「えぇ…結愛ちゃん、大丈夫!?まずはここから離れましょう。」



「でもっレトが…。」



「今は自分の心配をしなきゃ!だいぶ切られちゃってるわ…。」