うそ…これ、まずいかな。


どんどん胸のモヤモヤが強くなる。



「見つけた…兄様っ!ダメだよ、勝手に人間とこんなとこに…!」



「あ……ら、と…?」



普段は結愛との時間を邪魔してくるラトだけど、この時だけはタイミングがいいと思った。



胸の違和感があるけど苦しくない。



けど、なんか…ぼーっとする…。



「兄様…力の波動がどんどん強くなってる。多分発作が起きるよ。すぐに戻ろう。…そこの人間も下級の野生どもに絡まれたくなければ横に来い。」



「……っ。」




「兄様、無理しないで。俺が連れてくから。」



全然力が入らなくて、ラトにおぶってもらう。



その瞬間、ドクッと大きく鼓動を打った。



「くっ…うう。」



「兄様っ!?」



「レトっ!!」



ラトにしがみつく力もなくなり、崩れ落ちた。



結愛が泣きそうで不安げな顔をしているのが視界に入ったのを最後に意識が途絶えた。