「ねえ、サミちゃんとは…本当はどういう関係なの?」




「フィアンセの話しは本当に、ついさっきまでは僕には全然当てはまらなかった話なんだ。…長くなるし、分かりにくいと思うけど説明するね。」




僕は、ただの狼ではない。





狼が存在しているあの世界では位の高い順で区別されていて、王族、貴族、華族、平族、下族と5つある中で、僕は王族で最も位の高い王族の狼として生まれた。




父が現キング、僕はプリンスになる。




そして僕には双子の弟、クラン・オ・ラトがいる。




次期キングには、僕かラトが就くことになっている。




しかし、それには第3成長と言われるものを成したものが条件となる。




人間の姿のコントロールが身につくのは第2成長以降であり、確率は種族の位によって異なるが、どの種族の狼も訪れる。




人間の姿で入れる方が力をより証明することができるし、他にもメリットが多いため、こっちにも割と人間の姿をした者は多い。




…そして、第3成長は王族のオスにしか現れないと決まっている。第3成長を遂げると首元にクラウンの刻印が刻まれ、次期キングに該当されることとなる。




しかし、今まで王族に双子が生まれたことはなかった。



兄弟であってもどちらか片方にしか訪れなかったようで、周囲は僕とラト、どちらに第3成長がくるのかと歳を重ねるごとに話題になることが増えていた。