「 さあ~て、帰るかあ~ 」 顔をみがいて、黒木がスッと立ち上がる。 「 うん。黒木、かわいた。のど 」 「 オ~ウ♪ んじゃ~、どっか寄ってくかあ~?」 昼間とは違い、だいぶ風も冷たい。どこからか甘辛いにおいも漂ってきた。 あたしは歩き出す黒木の背中を追いかける。 ところが、 ——! なにか違和感を感じて足を止めた。 「……⁉︎」 ジワ~ッと熱を帯び、うずく右の手のひら。 「……え、」 ……なに、これ…… そこには、“五” の字に似た、赤いアザのようなものが浮かび上がっている。