SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「まずは一人」


あたしはすぐに目を閉じる。

間もなく予想通りの強い揺れがあたしの体を振り飛ばし、それまでの温度や湿度、空気がだんだん変わってゆく……


——ビュルッ!


吹きつける砂混じりの熱い風……


「……⁉︎」


目を開けると、そこは一面砂漠だった。

焼け付くような灼熱の太陽……

すぐに汗が噴き出してくる……


「……!」


見つけてあたしは駆け寄った。

黄土色の大地に点々と黒服の隊員たちが倒れている……


「みんなっ! 大丈夫⁉︎ ……凛子!」


D.S.Pのトレーナーでサイコキネシス能力者の凛子、他にも水を操る能力者、植物を操る能力者が酷い火傷を負っている。


「……み、く……」


苦しそうに凛子は口を動かした。


「どうにも……出来ない、こんな何もない場所じゃ私たち……力が、使えないの……」


「凛子!」


「美空、逃げ……」


——ファボオオオオッ……!


巨大な火柱が立ちのぼった。

空を焦がすほど高く燃え盛る火柱が、大量の砂を巻き上げながら激しい渦を巻いている。


「……っ、」


目も開けていられないほどの熱風、

共に吹きつける砂粒がまるで火の粉のように身にまとう衣服を焦がしてゆく……