SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……っ、何よこれっ! 何でテレポート出来ないのっ!」


焦ったように女はバリアーをドンドン叩く。


「この間、擦り抜けられたからだ」


見下ろしながらあたしは答えた。


「……⁉︎」


「今度は頑丈にしておいた。入れるけど出られない、特別なバリアーだ」


「……っ、 ふざけるんじゃないわよっ!」


「ふざけてない」


「出しなさいっ! ここから早くっ!」


「いいけど、本当にいいの?」


「早くなさいっ!」


「分かった」


言われた通りバリアーをほどく。

すると、


——ダダダッ! ズダダダダッ!


止まっていた銃弾が動きだし、女の体にめり込んだ。


「……ぎゃああッ……ぁぁ……」


一瞬のうちに血にまみれ、女は地面に衝突した。