SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……なんで……」


「Blue dollのあの女よ! テレポートでビルからビルに飛び移って銃撃をっ……人を捕まえては屋上からゴミのように投げ捨てるの!」


「そんなっ、」


「酷い女よっ……まったくっ……」


上を見上げ、ユリは声を詰まらせる。


「……でも、D.S.Pじゃどうにも出来ないの。悔しいけど力の差がありすぎるわ……なんとか応戦してきたけど、これ以上はもう……。

悪い事は言わない、美空は逃げて! あんな化け物が他に五人もいるだなんて……いくらなんでも、美空でも無理よ! とても全員を倒せるはずが——」

「——それはどうも」


突然女が現れた。


「……っ! あなたっ!」


「 “ とても全員を倒せるはずがない ” ……分かってるじゃない、光栄だわ。そんなに褒めてくれるなんて」


赤髪の女はにやりとユリに笑いかける。