黒木はポケットからタバコを取り出すと、一本口にくわえ、ライターで火をつけた。 ……あ。 今、あたしと同じ年ぐらいの女の子の顔がみえた。 「…………」 あたしは分かってしまった。 黒木が今、誰を思い出しているのかを…… 「……いもうと 」 あたしの言葉に、黒木がハッとする。 そして、観念したように、ハア~っとタバコの煙を吐き出した。 「 ははっ、おまえもナカナカ、あなどれね~なあ。 あいつは、麻里は……おまえに似て、強い妹だったよ…… 」 黒木は体をダランと崩して空を見上げた。