SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「——⁉︎」


気付くと違う場所にいた。

高いビルが建ち並ぶそこは……


「……さっきの、街の世界……」


ぐるりと辺りを見回してみる。


……!


「ユリ!」


見つけてあたしは駆け寄った。


「……! 美空っ⁉︎ どうしてここにっ……」


出血のせいかユリの顔は青ざめている。


「体はっ……もう大丈夫なのっ⁉︎ 私すごく心配で……!」


「ユリこそ! 大丈夫⁉︎ ケガしてる!」


「……えっ、……ああ、大丈夫よこれぐらい……」


「待って、今あたし——」

——カアン!

何かがぶつかる音がした。


「危ない! 隠れて!」


あたしをかばうようにユリが銃を構えて警戒する。


「銃弾がどこから飛んでくるか分からないの! それにっ……」


——ダンッ!

今度は鈍い音がした。


「……えっ、」


見るとそこに人が横たわっている。

黒い防護服を着たそれはD.S.Pの隊員で、もうすでに生き絶えているようだった。