「あたしも見たくない、これ以上みんなが傷付くのを。守りたいんだ、あたしがみんなを守りたい」


「……みく……」


「大丈夫。あたし絶対負けないから。 だってあたしは一人じゃない。 しるしや、お父さんお母さん、湧人やみんなもいてくれる。 いっぱい力もらってる、だからあたしは大丈夫」


「……っ、」


湧人は唇を噛み締める。

うつむいて、堪えるようにギュッと瞳を閉じている。

そして、


「……分かった……」


湧人は静かに頷いた。


「でも約束して。 必ず無事に帰ってくるって……絶対生きて帰ってくるって……」


「……湧人……」


「約束して。 また、すぐに会えるって……」


それはとても儚く切ない顔……

銀の瞳だけが力強くまっすぐあたしを見つめてる……


「……分かった。 約束する。 必ず無事に帰ってくる。 絶対生きて帰ってくる。 すぐに湧人に会いに行く」


そう言うと、ほんの少しだけ湧人は微笑む。


「……じゃあ、 行ってらっしゃい……」


今度はそっと背中を押してくれた。


「うん。 じゃあ、行ってくる」


あたしは再び走り出す。

地上へと続く階段を、覚悟を決めて駆け上がった——。