SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


あたしは目を疑った。

いつの間にか目の前に人が立っている。

懐かしいと思うほど久しくて、会いたくても会えなかった人物、昔のあたしの名を呼ぶそれは——


「……お父さん、 お母さん……」


それはお父さんとお母さんだった。

二人は当時の記憶のまま、あたしに微笑みかけている。


『『……万里……』』


もう一度名前を呼ばれると熱い何かが込み上げた。


「……あ、 ……ああ……」


無意識に涙がこぼれてゆく。

滲む視界……

二人はそっと手を伸ばすとあたしをギュッと抱き締めた。


『『会いたかった……万里』』


ちゃんと感じる二人のぬくもり。

におい、優しさ、息づかい……