SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「ラチがあかねえ! おっさん、もっかい腹決めようぜ!」


黒木が苛立ったように提言する。


「なんかあったら、またオレが治してやっからよ!」


だが一ノ瀬は黒木の異変を見逃さない。


「無理するな! 美空の件でだいぶ力を消耗し、その上Blue dollとの闘いで何人もの負傷者を治療した……既に体に支障が出ているだろう!」


「……っ、」


黒木はビクッと体を揺らす。

一ノ瀬の言う通り確かに無理がかかっていた。

度々起こる眩暈とふらつき、ちゃんと力を入れて立っていないと膝から崩れ落ちそうだ。


「オレは平気だ! それより、ミクにひでえ事したアイツらを早くこの手でぶっ潰してえ!」


「それは俺も同じだ! だが慎重に事を運ばなければまた多くの犠牲者が出る! みすみすお前らを死なせる訳にはいかないんだ!」


「……っ、 くっそ……」


黒木は拳を握り締める。


「もう一度、策を練る……」


そう口にしたものの、現段階では打開策など見つからない。

黒木同様、一ノ瀬も悔しさを滲ませた。

……と、その時、


“ ビ——ン! ビ——ン! ビ——ン!”


突如、それまでにない大きな警告音が鳴り響く。