「ラチがあかねえ! おっさん、もっかい腹決めようぜ!」
黒木が苛立ったように提言する。
「なんかあったら、またオレが治してやっからよ!」
だが一ノ瀬は黒木の異変を見逃さない。
「無理するな! 美空の件でだいぶ力を消耗し、その上Blue dollとの闘いで何人もの負傷者を治療した……既に体に支障が出ているだろう!」
「……っ、」
黒木はビクッと体を揺らす。
一ノ瀬の言う通り確かに無理がかかっていた。
度々起こる眩暈とふらつき、ちゃんと力を入れて立っていないと膝から崩れ落ちそうだ。
「オレは平気だ! それより、ミクにひでえ事したアイツらを早くこの手でぶっ潰してえ!」
「それは俺も同じだ! だが慎重に事を運ばなければまた多くの犠牲者が出る! みすみすお前らを死なせる訳にはいかないんだ!」
「……っ、 くっそ……」
黒木は拳を握り締める。
「もう一度、策を練る……」
そう口にしたものの、現段階では打開策など見つからない。
黒木同様、一ノ瀬も悔しさを滲ませた。
……と、その時、
“ ビ——ン! ビ——ン! ビ——ン!”
突如、それまでにない大きな警告音が鳴り響く。


