「一からやり直させてくれないか……。 今の仕事が片付いたら、俺はいったん職務を退く。誰も知らないどこか遠くで……親子三人、今度はのんびり暮らしたい。
親として、親らしく、これからはお前たちを守りたい。 しっかり向き合って生きたいんだ」
「……親父……」
「……お父さん……」
真剣な物言いに、二人はしばし呆然となる。
その後、
「いいな、それ」
「なんか楽しそう」
そう口にする二人は、にこやかな笑みを浮かべていた。
「……じゃあ、俺は最後の大仕事に入る。 とても危険な仕事だ。お前たちにまた……いや、万が一でも危害を加えられたくないからな。悪いがしばらく地下シェルターに避難していてくれないか」
「……え、 ……ああ、分かった」
「お父さん、あたし待ってる。気を付けて」
「さあ、どうぞこちらへ」
待機していた部下に連れられ二人はそこから歩き出す。
……と、
「「……?」」
ガラス越しに眠る美空に視線が注がれた。
「……だれ、だ……?」
「お父さん、あの人……どうしたの?」
二人の記憶に、もう天使美空は存在しない。
「……ああ、ちょっとな。だが、きっとすぐに良くなるさ」
「「……ふうん……」」
不思議そうに眺めた後、二人はそこから立ち去った。


