SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


それは苦渋の決断だった。

このままでは恐らく自責の念で自己が崩壊するだろう……


「いいんですか?」


新の問いに一ノ瀬は頷く。

こんな事なら包み隠さず真実を話しておけば良かった——

いや、最初から美空を二人に近付けるべきではなかったのか……

そんな後悔が湧き起こる。


「全ては俺の判断ミスだ」


一ノ瀬は拳を握り締める。


透と薫を思えばこそBlue dollだった美空の過去を明かすのは賢明ではないと思った

美空のプライバシーは守られるべきだと主張した

何も全部を知る必要はない、言わない方がお互いの為……


それらの勝手な気遣いが結局はこんな結果を招いてしまった。


「分かりました」


新は再び手を触れる。


「「————」」


先程と同じように訪れる沈黙……

そして、


「……あれ……親父?」
「……お父さん……?」


新の手が離れると、さっきとはまるで違う表情の二人がポカンと首を傾げていた。