「……っ、」


これが二人の任務なのだ。

あたしにこの薬を飲ませる事が。

二人の手であたしの命を奪う事が。

もしそれが失敗すれば、自ら命を絶つよう、肉体が行動操作されている。

心臓が止まるという、本人でさえ自覚のない方法で……


「……はああ〜、」


あたしは深く息を吐く。

弱った体に、右手に、もうしるしは浮かんでいない。


これしか方法がないのだ。

二人を助けるにはこれしか——


「……とおる、 ……かおる、」


目の前の二人を見つめながら、あたしは口を動かした。



「……ごめん。あたしがもっと早く気付いてたら……」


「「————」」


「……苦しかったよね。あたしなんかよりずっとずっと。

だってあたしには分かるから。操られてたって二人の心が……

あたしのせいで本当はすごく辛いこと」


「「————」」


「これが、償いになるとは思ってない。でも、」


「「————」」


「……はぁ。 あたし、二人と友達になれて良かった。 一緒に遊んだり、勉強したり。分からない事、いっぱいいっぱい教えてもらった。

二人のおかげであたし、だから……

もう苦しまなくていいんだ。あたしの為に、そして、あいつらの復讐の為に……二人には、笑っていて欲しいから……」


最後ににこりと微笑んで、

あたしは一気に薬を流し込む。


「————っ!!」