SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……!」


気付けばそこはマンションだった。

さっきと何も変わらない自分の部屋にあたしはいる。


——ピンポーン


ふいにチャイムの音がして、あたしはビクッと肩を揺らす。

誰が来たのかすぐに予測がついてしまう……


「……っ、 ……ハァ、」


傷だらけの重い体を引きずりながら、あたしはヨロヨロ玄関へと歩いていく。

鍵を開け、その人物たちと対面した。


「美空っ!」
「美空さんっ!」


そこにいたのはやっぱり透と薫だった。

だけど、さっきと様子が違っている。


「どうしたっ!」
「ひどいケガしてるじゃないっ!」


その言葉や態度に今までの怒りや憎しみなどは見られない。

ここ数日の事などまるでなかったように、二人はあたしに接してくる。

でも——、


「とにかくっ、中にっ……!」
「一体どうしたっていうの!」


二人があたしの腕を引く。

掴まれた所から異様なものが伝わってくる。

本人であって本人ではない、それは心を持たない人形のよう……

二人は操られているのだ。

カイドウの能力、行動操作によって……