SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……いっ、イヤなワケないだろお……」

「大好きよ美空っ……これからもずっとずっと大好きよ……」


二人のあたしを見る目はまっすぐで、嘘偽りは見られない。


「うん 。あたしも、黒木とユリが大好きだ。ずっとずっと大好きだ」


あたしは二人にそう返した。


「……っ! ミクっ……許してくれんのか……オレたちを……!」


「あんなに酷い事……したのに……?」


「……なに? 分からない。分からないけど……でも許す。二人とっても大切だから」


「……っ……ミクう〜……」
「……あり……がとう……」


肩を震わせ、二人は本格的に泣き始めた。


……?

何で二人が泣いているのかは、やっぱりよく分からない。

けど、悲しい涙ではない事は二人を見ればすぐ分かる。


……そういう事なのだ……


改めて思いを強くする。


「……湧人……」


あたしは、少し居ずらそうに佇んでいる湧人の方に顔を向けた。


「あたしやっと分かった。どんなに自分が苦しくても、そんな時こそ、よく周りを見ないとダメなんだ。

だってちゃんと見るってこんなに大事。

見ようと思えば見えたんだ、分かったんだ、もっと早く気付けたんだ」


……透と薫の異変に……

二人とも、あたしを信じてくれてたのに……



「あたし、もうちょっとで見失うところだった。大切なもの……」


「……え? ……ああ、うん……」


コクンと頷く湧人の肩越し、

窓からはどんより曇った空が見えている。


……とおる……


……かおる……


あたしは二人の顔を空に映した。