SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……ンでも、 何であの二人……」
「おととい、ここへ来た時はそんな……」


「むしろ、ミクを心配してたっつーか……」
「恨むなんて、そんな素振り見せなかったのに」


困惑しながら黒木とユリが話すのを、あたしは黙って聞いている。


「……なんにしても許せねえ……ちゃんと二人と話さねえとな」

「ええ。いくらなんでも酷すぎる……早く暴走をやめさせないと……」


昨日の場面が蘇る……

あの時、あたしは……


「……たく、家にも帰らねえで……アイツら一体どこにいるんだ!」

「こういう時に限ってチームESPは出払ってるし、指揮官も……まさかこの状況を放っておくとは思えないけど……」


倒れる寸前、確かにあたしは……


「みく? どうかした?」


……!

湧人の声に我に返る。


「まだどこか痛む? それとも具合が悪いの?」


「……え、 ……ああ、」


「ゴメンなあ、ミク」


黒木が顔を近付けた。


「オレ、あまりにも動揺しすぎちまって……治すのにだいぶ時間かかったんだ。まだどこか治しきれてねえなら言ってくれ」


「あ〜、大丈夫」


「ンでも〜、」


「大丈夫。 黒木、治してくれてありがとう」


すると、黒木は瞳を大きくする。


「……黒木?」


「……ああ、いやっ……なんつーか、ちゃんと喋ってくれんのが嬉しくて……」


目にはまた涙が溢れていた。