SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



『……みく⁉︎ どうしたの! 何してっ……オレずっと電話して——』


出た途端、大きな声が耳をつく。

焦ったような湧人の声……


「……ごめん、 気付かなくて……」


『……どうしたの⁉︎ 何かあった⁉︎』


「あ〜、しるしが、呼ばれて……」


『しるし⁉︎ ……大丈夫だったの⁉︎』


「うん、一応。 でも……」


『今どこにいるの⁉︎』


「……家の、近くまで……」


そこまで言って口を止める。


——ザッ……

ふいに現れる二つの人影。


「……あ、」


透と薫がそこにいた。


『……みく? どうしたの? ……みく?』


——プツ!


あたしは黙って電話を切る。

街灯に照らされた二人の顔をじっと見上げた。


「やっと見つけた」
「人殺しが逃げてんじゃねえぞ!」


……やっぱり……


その表情は怒りと憎しみに満ちている。
憎悪の念は更に強くあたしの心に入り込んだ……


「……許さない……」


薫があたしの前に来る。

持っていた鉄パイプを構えると、


——ガアンッ!


それをあたしに振り下ろした。


「……っ、」


“ガッ! ガッ! ギンッ! ガン!”


たまに的が外れた鉄パイプが電柱に当たって音が響く。

あたしは薫にされるがまま、その攻撃を受け止める……

でも、


「……っ、 ……ハアッ、」


さすがに今日はもうキツイ。

午前に受けた頭の傷も、傷口が開いて顔面が血で濡れてゆく……