SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

————————————————
——————————————————
————————————————

————————————————


“……タ、  ……タ…… ”


その後、あたしはゆっくり夜道を歩いていた。

足が重くてなかなか一歩が出ないのは、背中に感じる違和感と、めまいで視界がグラついているから。


“……ポタ、 ……ポタ、 ”


歩くたびに出血する。

さっき男が放った刃があたしの背中に刺さっていた。


……油断した……


幸い急所は外れているけど、けして浅い傷じゃない。


「……っ、」


強いめまいの波がきて、あたしは電信柱にしがみついた。


——ズル……


そのまま地面に座り込む。


「……はあ、」


湧人の家まであと少し……

たまに通る車のライトと街灯がなければ、ここは本当に真っ暗だ。


「…………」


……闇 、 だ……


今、 あたしは闇の中にいるのだ。


出口のない、暗い暗い真っ暗闇に……


……ああ……


何故だかそれが心地いい……


もう光なんてなくていい……


いっそ闇の中に溶け込んで……


……あたし、 ……あたし……


————“ブー!”


「 ! 」


振動があたしの意識を引き戻す。


……あ、


ぼーっとしながら電話に出た。